石灰に関わるプラントには、石灰石を焼成して生石灰を製造する設備や、生石灰を水と反応させて消石灰を製造する設備のほか、石灰石粉や消石灰などを原料・薬剤として受け入れ、貯蔵・計量・供給・輸送する設備があります。
本記事では、こうした石灰系粉体を扱う設備のうち、受入れ・貯蔵・切り出し・計量・供給・輸送などの粉体処理ラインに焦点を当てます。石灰石粉・生石灰・消石灰は化学的性質や粉体としての挙動が異なるため、それぞれの特性を踏まえた設備設計が重要です。
石灰石粉・生石灰・消石灰は、いずれもカルシウムを含む石灰系材料ですが、化学的性質や粒径、かさ密度、流動性、付着性などの粉体特性は同一ではありません。
そのため、安定した受入れ・貯蔵・供給を実現するには、粉体ごとの粒径、かさ密度、流動性、付着性、反応性などを踏まえて、ホッパーや供給機、輸送方式、防湿対策などを選定することが重要です。
これらのトラブルは、粉体の流動不良や供給量の変動、粉じん発生、設備部品の摩耗などにつながります。対策を検討する際は、トラブルが発生している装置だけでなく、原料特性や前後工程、輸送条件を含めてライン全体を確認することが重要です。
生石灰は水と反応して消石灰になる性質があり、この反応では発熱が生じます。そのため、貯蔵・搬送時には水分が設備内へ入り込まないように管理することが重要です。農林水産省も、生石灰について水との接触を避け、湿気のない場所で密封保管するよう注意喚起しています。
また、粉体の貯蔵設備では、水分だけでなく粉体の粒度、かさ密度、圧密状態、付着性などによって、排出口でブリッジ(架橋)やラットホールなどの流動不良が発生する場合があります。
消石灰についても、保管条件によって性状が変化する場合があるため、粉体の性状や使用環境を踏まえた貯蔵・供給設備の設計が必要です。なお、消石灰は強いアルカリ性を持つため、取扱時には粉じんや接触への安全対策も求められます。
石灰石粉などの粉体を空気輸送する場合、粒子の輸送速度や濃度、粒径、配管の曲がり部、配管材質などの条件によって、配管やバルブなどの流路部品に摩耗が生じる場合があります。
特に配管の曲がり部などでは、粉体が流路壁面に衝突することで局所的な摩耗が発生することがあります。そのため、輸送条件だけでなく、配管レイアウトや使用する部材も含めて検討することが重要です。
一方、消石灰などの微粉体を輸送・供給する際には、粉じんが発生して設備周辺へ飛散したり、設備内部へ付着したりする場合があります。粉じん対策では、輸送方式だけでなく、集じん設備や吸引条件、設備の密閉性などを含めて検討する必要があります。
脱硫や中和などの工程では、使用する薬剤の供給量や濃度が処理性能に影響する場合があります。例えば、環境省の資料では、排煙脱硫に石灰石を用いる石灰石・石こう法や、石灰石・消石灰を用いる乾式・半乾式法などが示されています。
そのため、薬剤を供給する設備では、処理量に応じた安定した計量・供給が重要です。供給量が変動すると、工程によっては処理性能のばらつきにつながる可能性があります。
また、複数の粉体を混合する工程では、粒径、密度、粒子形状などの違いによって偏析が発生する場合があります。偏析が生じると、混合物の組成にばらつきが生じる可能性があるため、粉体特性を踏まえた混合方法や搬送条件、設備レイアウトの検討が重要です。
石灰系粉体を扱うプラントの建設・改修では、装置単体だけでなく、原料の受入れから貯蔵、切り出し、計量、供給、輸送までの一連の工程を考慮して設備を検討することが重要です。
特に既設ラインの改修では、限られたスペースや稼働停止期間に加え、既存設備との接続・干渉などの取り合いを考慮する必要があります。原料の粒径、かさ密度、流動性、付着性、反応性などを確認したうえで、設備方式を選定することが重要です。
また、設計だけでなく、施工や試運転、既存設備との調整まで含めて対応範囲を確認しておくと、改修工事を進める際の検討材料になります。
当メディアでは、原料特性や既設ラインとの取り合いを踏まえ、受入れから供給・輸送まで一連の工程を考慮した設備計画に対応できる会社を紹介しています。石灰関連工場の設備計画にお役立てください。
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